ミッドナイト・アートシアターで、松本大洋原作、マイケル・アリアス監督の「鉄コン筋クリート」を観る。
ま、長瀬君主演の「ヘブンズ・ドア」の“煽り”で、ということみたいですね。
ちなみに、ジャニーズつながりで言うと、この作品では二宮君が主演の声をつとめています。お相手は、蒼井優。
二宮君はそのまま二宮君なんですが(一応二役なんですが、全然そうなってなくって、基本的にはずっとそのまま)、対する蒼井優は、かなり変化球で熱演、ハマってます。
もちろん、どちらも上手だなぁ、と。
で。
作品の感想ですが、とりあえずひと言で言ってしまうと、“ハードボイルド”なんだなぁ、ということ。
その感じが、すげぇ良かったです。
“書き割”感剥き出しの画も、すぐ入っていけたし。
というか、めちゃめちゃいいでしょ、あの街の感じは。かなり振り切ってて、その感じがいいと思いました。それは、もちろん監督の演出の意図なんでしょうが、多分、スタジオ4℃の、制作チームとしてのポテンシャルもかなり寄与してるんじゃないのかな、なんて。
ただ、記憶頼りになっちゃってちょっとあやふやなんですが、スタジオ4℃が制作した短編のオムニバスが、かなり“キツい”感じになってたなーと考えると、これは、監督とスタッフがかなり上手く噛み合った作品なんじゃないのかなぁ、と。
上手ですもんね。
ただ、ちょっとだけ引っかかったのが、“カメラワーク”というか、アクションシーンで、キャラクターのアクションに、フレームの動きがちょっとだけ先行しちゃってるな、と。
格闘技用語で言うと、「テレフォン」(by グラップラー刃牙)。
ストーリー上の問題じゃなくって、カットの中の、凄い短い時間の中のアレで。
今からこっちに動きますよ、みたいなのが、感覚的に、観る側に“予告”されちゃってる。
ま、それでもいいっちゃいいんですけどね。
実写なら気にならない、という程度のアレかもしれないし、たまたまこれを観てる時だけきになっちゃただけかもしれないし。
多分に、俺も感覚的なアレなんで、はっきりしたことは言えないアレなんですけど。
ただまぁ、気になった、という程度のことです。
で、なんせ“ハードボイルド”ですから、殆ど女性のキャラクターは登場しません。蒼井優が出演してる、というのが頭にあるので、あんまりそういう風に思わながちですが、そうなんですよ。
とても男臭い、そしてその“救い”の無さも含めて、一級品のハードボイルドだな、と。
もちろん、主人公2人は、一応ハッピーエンドを迎えている、という描写がされてるんですけどね。
あ、あと、ラストのオルター・エゴとの絡みは、ちょっと長いかなー。
ああいうのは、この作品を“ハードボイルド”として捉えると、ちょっといただけませんね。
まぁ、いいんですけど。
うん。
そんな感じっスかね。
ヤクザの“若頭”(違うか?)と舎弟のシークエンスなんて、悲しいよね・・・。
切ない、ホントに。
世話になった兄貴分を、自分のシノギとして(家族に手を出すと脅されながらも)殺して、しかもその“殺し”を、兄貴が分かってて。「先に逝くぜ」と。
このセリフは、舎弟にも向けられてるんだよなぁ、と。
そして舎弟も、自分の女と“海辺”に逃げようとする寸前に殺されちゃう、という。
これを、あんなタッチの画で見せられたら、これはたまんないでしょ。
切ないっス。
そのあたりのサブプロットをちゃんと描いたってことでは、いい監督だなぁ、と。
あ、あと、音のセンスがいいな、と。音楽もいいし、抜き差しというか、間も上手だし。
というワケで、いい作品でした。
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