2013年1月30日水曜日

「LOOPER」を観た

池袋のシネ・リーブルで、「LOOPER」を観た。

またしても、テアトルシネマ系列の劇場で、会員割引を使って、1000円で。



ちょうど今、自分で書いてるシナリオがタイムマシンもので、勉強半分、せっかくだから観ておこうかな、という、ワリと斜に構えた感じで池袋まで出かけていったんですが、ハードルがちょっと低めだったせいか、予想を裏切る面白さで、個人的には結構盛り上がっちゃいました。



まず、舞台。
予告編やらなんやらの“前フリ”の段階では、「30年後の自分と戦う」みたいなことだったワケですけど、その舞台となる“現在”も、未来の話なんですね。
つまり、そもそもが、未来の話。
そこからさらに30年後の時代から、という。


なので、作品世界における“現在”がまず描写されるワケですけど、これが良い。
主人公の“生業”の紹介と言える、“射殺”のシーンがいきなり出てきて、主人公のモノローグ、そして“現在”の描写、という、ある種のノワール的なアレなワケですよ。

「荒廃した未来」「ダーティな未来」。

「ブレードランナー」とはまた違う種類の「未来」なんですが、しかし、荒廃してしまった、腐り切ってしまった未来の都市の姿。

ノワール感ブリブリのこの感じ!



最近しょっちゅう顔を見るジョゼフ・ゴードン=レヴィットが、いい存在感を見せます。


で、まぁ、ゆっくりと話は進んでいって、という流れ。

前半は、生き残るためには親友すら売る、という、真っ黒にヤサぐれた主人公の心象風景と、彼が生きる世界が語られるワケですね。
母に捨てられて、という過去や、いつかフランスに行きたい、という夢や、その他諸々。
「今から30年間に、殺される」という、大事な“公式”も、しっかりと説明されます。


この辺のシナリオは、とても上手い。
金塊(インゴット)が弾丸を弾く、みたいな細かい設定も、手抜きなしって感じで、上手いです。
まず、その友人がその“宣告”を受け、逃亡する、と。
本人も、「30年後の自分」も。

その「30年後の自分」が殺されてしまう時の、このエグ味!
残虐この上ないっス。

ポイントは、この、親友の命運を描くシークエンスで、「次は主人公がこうなる」ということを説明しているトコですね。
色んなことを、ここで一挙に説明してしまっている。

ここに、ノワールなフレーバーが散りばめられている、という。

タイムマシン物ですから、どうしても「説明」が必要なワケですよね。「行動が影響する」とか、ね。
単にタイムスリップのことだけじゃなく、他にも色々なギミックやロジックが盛り込まれているストーリーなので、余計にその辺の説明が必要なストーリーでもあって。


で、諸々踏まえた上で、遂にブルース・ウィリス登場、と。



送り込まれてくるワケです。
「30年後の自分」が。

自分の前に。
現れてしまう、と。



で。

実は、起承転結で言うと、ここからが「転」です。


というか、ストーリー的に言うと、「起承転承転承転結」なんですよ。


これは、どんでん返しが続く(「起承転転転結」)、ということではなく、なんていうか、「転」のあとにまた「承」がくる、と。
いわゆる“ノリツッコミ”の“ノリ”が長い、という感じ。(違うか?)


「30年後の自分」と対面する、というのを結節点にして、「承」から「転」に移って、そこから、そこからの30年間の人生、というのが語られるんです。ここで「転回」したストーリーが、いったん「承継」される。


このストーリー展開は、個人的には結構驚きで、この発想は単純にスゲェと思ってしまったんですが、いみじくも、ストーリーの構造も「LOOP」になってるんですね。


で、ブルース・ウィリス演じる主人公が「30年前に送り込まれる」直前に、また「転」に移る結節点があって、タイムスリップして、最初の結節点を通過して、そこから、また新しいシークエンスが始まります。
「レインメーカー」というキャラクターを巡って、というシークエンス。ここがまた「承」部。

で、その「レインメーカー」という存在と能力が明らかになって、という「転」。

そして、結末、という。



良く出来たシナリオです。
長いけどね。




ただ、これはホントに言いがかりに近いんだけど、「サイキック能力」のギミックは、ちょっと戴けないな、と。
だって、このギミックは、「レインメーカー」のシークエンスだけにしか効いてないから。


なんかもっと、主人公の実存そのものに関わるとか、そういう能力というか、ギミックがなんかあったんじゃないのかな、というか。

「コブラ」のサイコガンみたいに、主人公もサイキック能力を持ってて、みたいな展開もできたんじゃないかと思うんだけどねぇ。

能力が発動する為には、特別な石とか、そういうキーになるツールが必要で、それを持ってなければ「レインメーカー」も怖くないんだけど、自分も無力化しちゃうから、とか。


ま、なんでもいいんだけど。


タイムマシンとサイキック能力って、両方共っていうのは、シナリオ的には、ちょっと都合が良すぎる気もするし。
もっとも、どちらも、この作品のストーリー的には欠かせない要素だけに、それならもっと、作品の構造自体に組み込む(食い込ませる)ようにしておいた方が、と。

そういう、“伏線”化の工夫が、絶対もっと出来たと思うんですよ。

そこが、ちょっとだけ不満です。



あと、ブルース・ウィリス、老けたなぁ、と。

全然元気ないもんなぁ。






それから、これはホントに蛇足なんですが、最近読んだ町山さんのコラムで「最近、中国系の資本がハリウッドに流れてて」みたいなことを読みまして。
それで、作品の舞台や登場人物に中国や中国系の人物が採用されている、とのことで。

「ダークナイト」で香港がチラッと出てきたのは、そういう理由なんだそうで、この作品でも、中国が登場します。「フランスより中国の方が将来性がある」なんていうセリフもあったりするし。

で、クレジットに「DMGエンターテイメント」っていうのがあったんですが、これが、そのものズバリの「中国系の資本」のことでした。


そこら辺も踏まえると、ちょっと面白味が増すかもしれませんね。



ということで、そんなに期待してなかったのに、良い方に裏切られて、満足しちゃった作品でした。








2013年1月23日水曜日

「ロンドン・ヒート」を観た

渋谷の、かつてシネカノンの劇場だった、ヒューマントラストシネマで、「ロンドン・ヒート」を観た。

なんでも「未体験ゾーンの映画たち2013」という特集上映だそうで、その中のひとつ、です。
テアトルシネマの会員割引で、1000円。(一般の値段も、1200円でそうで、良心的な価格になっております。)


さて。
原題は「The Sweeney」。警察の特殊部隊みたい組織の名称だそうで(SWATみたいなモンかな?)、そういうテレビシリーズが昔あって、それのリメイク、ということでもあるみたいです。

邦題はズバリ、パチーノデニーロの名作「ヒート」からの流用と思われまして、実際に作中でも、「ヒート」を明らかに意識した、ライフルと強奪したカネが入ったバッグを背負った犯人たちとの、街中での銃撃戦のシークエンスがあります。(長回しではない)


この作品の面白いポイントは、かなりアメリカ(ハリウッド)ナイズされた製作スタイルでありながら、舞台がロンドンであり、なおかつそれをとても巧く活かしている、という部分。
市街のゴミゴミした感じとか、雰囲気が凄い出てて、良いです。

あと具体的には、画面の色味のトーンとして、青味が強調されて、それが「いかにもロンドンっぽい」という感じで。
(ちなみに、この色味の感じは、「CSI:NY」でも採用されていて、個人的には好きなテイストでもあるんですけど。)


もう一つポイントは、俳優陣のキャラ立ちが物凄いくっきりしてて、それが、ストーリーを追っていくのに、意外と貢献している、というか。
結構登場人物が多いんですよ。関係も、何気に複雑だし。

その部分を、割と明快なキャラ立ちで、ザクザクッと見せてくれる。
良いと思いました。

主人公の、チームのリーダーなんて、見た目の、というか、頭部と胴体のバランスに因る“異物感”とか、白いスニーカーとか、もう明らかにヘンなんですけど、でも、それぐらいでちょうどいいか、みたいな感じに段々なってきたりして。

ロシュディ・ゼムもそうですけど、そのくらいの方がいいんでしょうね。



で。
ストーリーの内容は、まず一つ目のラインが、ある強盗事件が起きて、その事件の犯人を追う、というもの。
意外とこのシークエンスの“謎解き”みたいなのが面白くて、良く出来てるな、というか、ここも作品に引き込まれる一つの要素でもありました。

もう一つが、警察内部の、内務監査とのやり取り。
これには、チーム内の人間関係(不倫云々)みたいなのも絡んで、こちらも、魅力的なキャラクターの力もあって、ストーリー上の推進力は、強いです。

犯罪者との闘い、内務監査との対立、(主人公の恋愛も含んだ)チーム内の人間関係、という、三つのラインが、絡み合いながら、進んでいく。

この三つのラインが、とても「効率よく」存在している。

それぞれのラインが、独自にストーリーをドライブしていく力を持っているワケですけど、そこに、結構派手なアクションも盛り込まれていて、テンポよく、グイグイ進んでいきます。

面白いです。



実はちょこちょこと粗みたいなのもあったりするんですが、まぁ、力技というか、勢いでグイグイ持っていってしまう、と。
それでいいんですよ。この作品は。



うん。



あと、凄い派手なんですよ。とにかく。
カネがかかってる。

セットなんか凝っててオシャレだし、車なんかバンバン潰すしひっくり返すし、図書館の中のシーンなんて、蔵書がバカバカぶっ飛ぶしで。
そういう部分も堪能できます。



ヒロインが美形でセクシー度の高さが素晴らしい、というのもポイント。



という感じで、ただの“羅列”な感想になってしまいましたが(あと、擬音が多い)、とにかく大満足。

スクリーンが小さなシアターだったのが、ちょっと心残りでしたが、こういう、しっかりと手間隙かけられたアクション作品を観れたのは、良かったですね。ホントに。



機会があれば、DVDででも、ぜひ。
お薦めです。