2011年9月21日水曜日

文学の力

新聞に、ノーベル文学賞受賞者の作家のインタビューが掲載されてまして。
印象的だったので、ここでご紹介。
作家というのは、マリオ・バルガルリョサさんという、ペルーの方で、御年75歳。
個人的には不勉強なもので名前もぜんぜん知らず、当然作品も読んだこともないんですが、文学が持つ力について、印象的な言葉を残しています。

東京大学での講演テーマは「文学への情熱ともうひとつの現実の創造」だった。
文学が描き出すもう一つの現実には私たちすべての願望が入っており、現実の世界に足りないものを教えてくれると語った。


「文学を楽しみのためだけのものと見なすのは誤りで、文学は私たちに現実の世界がうまく作られていないことを教えてくれる。
批判的な精神を養い、権力に従うだけではない人を作るから、いろいろな体制のもとで、支配したい人たちは文学に不信感を持つのです。」


「文学は偏見への最大の防御になる。
言葉のおかげで私たちは分かり合うことができ、過去の人たちがどう考え、どんな夢があったのかを知ることができる。
文学は人間に共通のものがあることを示し、時間や空間を超えた連帯感を生み、肌の色や言語、宗教などの壁を超越できる視点をもたらす。」


「私たちの世代は、作家は自分の時代に関わらねばならないとするサルトルの考えを深く心に刻んでいた。」


「良い文学は生きるための助けになる。障害を乗り越える力を与えてくれ、人生の一部になる。」




“文学”には、現実と切り結ぶだけの力があるのだ、と。
逆に言うと、そういう力のないものは、文学ではないのかもしれませんね。


ただの製品、プロダクト、というか。


ま、それはさておき。



「もうひとつの現実」を文学の機能性として提示する、と。

そして、そこから戻ってきて、「現実の世界」と切り結ぶ、と。そのフィードバックを実際に生み出すエネルギーこそが文学の“力”なんだ、と。


恐らく、そういうことなんだと思います。




なるほどなぁ、と。


そう思いました。