2007年9月4日火曜日

「マイアミ・バイス」を観た

ちょっと前に観た、「マイアミ・バイス」の感想でっす。

とにかく、ジェイミー・フォックスの目がいいですよね。いわゆる、“眼力(めぢから)”というアレです。もちろんコリン・ファレルもいいけど。

コラテラルもカネかかってんなぁとか思ってましたが、マイアミ・バイスは、その比じゃないっスね。“火薬系”にはそんなに使ってませんが、とにかく空撮がバカみたいに多い。ジェット機、プロペラ機、雲の間、海の上、ジャングル級の木々が生い茂る山間の谷底。海の上の船も、いちいち空撮で。
だいたい、ピカピカのフェラーリやらなんやらのスポーツカーはまだしも、パワーボートが出てくる時点で、“ガキの妄想”ですよ、はっきり言って。

でも、そんな、小学生の男子が夏休み直前のクソ暑い教室の片隅で、例えば社会科の授業の合間に繰り広げる妄想みたいなことをやらかして許されるのが、我らがマイケル先輩、いや、マイコー富岡じゃなくって、マイケル・マンなワケで。

マイアミから、いちいちキューバやらハイチやらパナマやらコロンビアやらに出張る所もポイント高いですな。絶対、“カリブの海賊”気分ですよね、コレ。
もちろん、嫌いじゃないっス。というより、大好きです。この、“七つの海を股にかける”感。

ストーリーもグッド。コン・リーとコリン・ファレルのラブストーリーがハッピーな結末にならなかったり、例えばコン・リーが撃たれて死んじゃう、みたいな、“大袈裟な悲劇”というカタルシスに嵌まらないところもイイですな。
ちょっと気になったのは、キューバで迎えた始めての朝、“迎い酒”を飲んでるシーンで、チラッと、“監視されている”ようなニュアンスのショットが挟まれるところ。あれは“組織側”が監視してんのかなぁ、と、思ったんですが、特に引っ張るような伏線ではなかったですね。
あ、あと、その前夜の、踊りながら愛し合うシーンの、音楽の繋がりがいまいちでしたねぇ。サルサかなんかで踊ってて、その次に、ベッドシーンが繋がるんですが、そこで、なんかベタな曲調の曲が流れてて。そこはラテンで推すべきでしょう。

でも、女性の描き方もなんかちゃんとしてたし、同性愛スレスレの任侠監督、マイケル・マンの、渾身の作だった、と。そんな感じなんじゃないんでしょうか。

個人的には、とにかく動くカメラワークが気になりましたけどね。でも、画としては、コラテラルの方が好みかな。“都市の暗部”というか、“内部”を描いてるということで。今作は、“都市の外”にいる敵から、その“都市”を守る、という意味で、求められいる画も違ってますからねぇ。普通に“美しい画”ですからね。まぁ、もちろん、それはそれで素晴らしいんですが。

あ、でも、冒頭のクラブでのシーンで、2人が始めて同じ画面に入って映るカットは、最高でしたね。構図が。アレは必ずマネします。

とにかく、力作でした、と。ジェイミー・フォックス、超クール!

2007年9月2日日曜日

「エンジェル・アイズ」を観る

J.Lo in Da House!」ということで、「タクシードライバー」ではなく、「エンジェル・アイズ」を観る。
ま、「タクシードライバー」は何度も観てますしね。
実はカエル顔の、というより、「20世紀少年」の“ケロヨン”顔のジェニファー・ロペス。昨日見たペネロペ・クルスと比べるとやっぱりちょっとアレですが、ちょっとスペイン語訛りの英語が結構ツボですね。良かったです。役柄にも合ってて。なんか、“等身大”という感じの、こういう役が凄い合ってる感じがします。ブルーカラーというか。

内容ですが、ま、よく出来た佳作だな、と。お金はかけなくてもちゃんと良いものって作れるんですよ、という、お手本のような作品ですよね。
こういう、“ハリウッドの佳作”って、個人的に大好きなんですよねぇ。スタッフもキャストも、大作やスターへの足がかりにするために作るようなアレなんでしょうが、まぁ、別にそんな事を気にせず、素直に観れる良い作品なんで。

不器用さゆえに、家族からのけ者にされている女と、愛していた家族を失ってしまった男の、まぁ、シンプルなラブストーリーなんですが、ディテールをもの凄い細かく積み上げていく、というシナリオは、ホントに上手なだなぁ、と、思いました。
“電話と留守電”とか、車を運転することに怯える、とか。

あとは、2人の、それぞれの脇にいるキャラクターが、良かった。こういうポジションのキャラクターって、変にステレオ・タイプな感じに作られることが多いんだけど、ちゃんと、個性的で、それぞれに背景と物語を持っている、というキャラクターで、またそれが、主人公たちの物語への効果的なエフェクトになってて。

ただ、その辺の、演出もコミのディティールの巧さとは対照的に、セリフはイマイチ。言葉のチョイスはそんなに良くないな、と。まぁ、訳語の問題もあるんでしょうが。

主人公が変にマッチョじゃない所もいいですね。J・Loも、適度にパワフル、適度にフェミニンな感じで。

それから、DV(ドメスティック・バイオレンス)を描くんですが、その描写が凄い上手でした。ま、直接DVを描くワケではないんですが、その、被害者=配偶者(パートナー)の心情、と、もう一つ、遺伝してしまう、という部分。
虐待を受けた子供は、自分の子供にも同じ表現をしてしまう、という。再生産されてしまう“虐待”の悲劇性。ま、あくまでフレイヴァーなんで、真正面から取り上げている、というワケではないんですが。でも、問題の本質をちゃんと伝えてはいるな、と。


というワケで、なんだかんだで、素直に女優業のキャリアを伸ばしてるジェニファー・ロペス。ちょっと見直しました。

2007年9月1日土曜日

「ボルベール〈帰郷〉」を観る

吉祥寺まで出かけていき、「ボルベール」を観る。
というより、ペネロペ・クルスに魅入る、という感じでした。素晴らしい。
ま、ペネロペの美しさについては別の所で詳しく、ということで、監督志望らしく、作品の感想を・・・。

・・・。

ペネロペがマブかったです、という他に・・・。

なんでしょうか・・・。

う~ん、案外短いカットでパンパン繋げていくんだなぁ、とか、ほとんどそんな記憶しかないかも・・・。
オーソドックスに、バストアップを多用して、しっかり俳優の表情を押さえて見せていく、というのも、正直、字幕よりもペネロペの胸の谷間に目線がいってしまって・・・。

ただ、他の作品にも共通して言えると思ったのは、「俳優をどこに立たせるか」という部分がもの凄いなぁ、という所かな。セットなのかロケセットなのかは分からないんだけど、ロケ・ショットなんか、やっぱり凄い綺麗だし、部屋の中の画も、凄い綺麗。“色彩感覚”云々じゃなくって、生活感もあるし、空間もしっかり確保しているし、その部屋に住む人をちゃんと表現してるし。
レストランのシーンとか、ホントに良かった。マジで。それは、“ただ店内を映してる”っていう風にしか見えないんだけど、逆に要らない所は全然映してなくって、実はどういう造りの店なのかって、分かんないんだよね。でも、全然それでよくって。

あとは、衣装かな。ま、これも、ペネロペの美しさあってのことなんだろうけど。モダン過ぎなくって、でもちゃんとフェミニンで、姉妹のキャラクターが着ている服で色分けされている、というのは、まぁ、当然なんだろうけど、なんていうか、あんまりカネを持ってないんだけど、ちょっと派手好きで、ちゃんとオシャレなんですよ、みたいな雰囲気がちゃんと伝わってきて。
うん、記号的なだけじゃなくって、ちゃんと空気を作ってる、というか。
あと、死体を運ぶ時に、親子でジャージに着替えてたりして。
もちろん、ドレスアップした時にガラッと変身してみせるペネロペも最高でしたけど。

それから、この作品は脚本賞を受賞したということですが、結構、セリフで“説明”するんですよね。変に回想シーンとか作らないで。ま、個人的には、全然オッケーなんですが。
前に、自分の作品に出演してもらう女優さんを探してる時に、シナリオに「説明台詞が多い」って言われて、ちょっと気になってて。「それをきっちり表現するのが演技なんじゃねぇのか」とか。
結局、その女優さんには断られちゃったんだけど、まぁ、そういう見方もあるんだなぁ、とか、思ってたんです。
ま、だから自分のスタイルを変えるとか、そんなことは全然なかったし、これからも、その部分についてはないと思うんですが。
ま、成功例は、ここにあるな、と。自分と比べるアレでは全然ないということは、重々承知の上で。


アルモドバル監督の“女性賛歌”三部作、というコピーだったけど、こういう映画、大好きなんですよね。実は。
ジュリア・ロバーツ主演の「マグノリアの花たち」という作品を思い出しました。



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