2009年2月6日金曜日

「13デイズ」を観る

午後のロードショーで、ケビン・コスナーが再び“JFK伝説”に挑んだ「13デイズ」を観る。


うん。面白かったです。
最初は、なんかキャストが迫力不足? とか、イマイチだなー、なんて思ってたんですが、段々引き込まれていっちゃいました。
ま、「キューバ危機」という、事件そのものが凄いスリリングでドラマチックだから、当たり前っちゃ当たり前なんですけど。

最初、「事件は現場で~」の逆で、ひたすら会議室の中(ホワイトハウスの)で話が進んでいくのかな、とか思っちゃって、それならサブいぞって思ってたんですけどね。
ちゃんと、「沈黙の艦隊」チックなシークエンスもありで。

ま、低予算作品なんだろうけど、ちゃんとやるべきことはやってます。
ちなみに、ウィキペディアの当該項目の記述によると、国防総省は製作サイドの協力して欲しいという申し入れに対して「自分たちの描写が好戦的過ぎる」みたいな理由で、断ったらしい。
納得、という感じ。
軍人たちは、ずっと“好戦的”で、JFKとはずっと対立構造にあります。

JFKをかなり神格化してる感じがしちゃって、そこら辺が、最初にイマイチって感じた理由だと思うんですね。いま思うと。
公明正大で清廉潔白で、軍部の圧力に抗しながら、みたいなトコが、最初はあまり説得力がない。

だけど、なんか段々風格が出てくるんですねぇ。そう感じてくる。
不思議なんですけど。演出の力なのかは、ちょっと分かりませんけど。



上手だと思ったのが、アングルというか、画面の構図、みたいなの。会議室の中の人間関係だったり、JFKと弟のロバート、主人公(ケビン・コスナー)の3人だったり、さらに主人公が部屋の外に出されて、とか。
その辺は、ホントに巧い。
会議室の人がバッと居る中で、ちゃんとJFKや重要人物を浮き上がらせるように配置してあったり、とか。

あとは、JFKと弟と主人公の関係性かな。
弟は司法長官という役職に就いてるんだけど、そうじゃなく、完全に“弟”として、腹心としてそこに居る、と。閣僚という立場を完全に越えている。この描写が、すげー上手い。
それから、2人の“兄貴分”としている、主人公。スマートな兄弟に対して、結構ブルタイプで、なんていうか、汚れ役、というか。インテリなんだけど押しも強い。
こういう役柄は、実はハマり役なんですね。

で、3人は、アイルランド系(カトリックで)という出自で結ばれてて。
最後の口笛の演出も、あれは多分、アイリッシュのおまじないみたいなモンなんだと思うんですね。日本でいえば「えんがちょ」とか「夜に爪を切るな」とか、多分そんな感じで。

それを、超緊張してガチガチになってるソ連の(多分)政治局員の前で、信頼している友のために、「俺はここにいてお前を支えてるんだぞ」と。
その前の「妻子を託すなら、君だ」みたいなセリフも、超クール。

その辺のディテールは、フィクションとして作られてるんでしょうけど。
ちゃんとそこがクライマックスになってて。いいと思いました。


で、マクナマラたちが「次は中東と東南アジアだな」とか。これは、後にベトナムで失敗する彼らを示している、と。
ホットラインを開設する、とか、ね。その辺の描写も心憎い感じで。

ラストの、ホワイトハウスの壁に3人の影が写るショットも、オシャレですよねぇ。
影だと、実在だった人間ですから、俳優の顔じゃなくって、受け手それぞれが記憶している“顔”を思い出すことが出来る、と。
うん。

あ、それから、「タバコを吸う」のが、“好戦的”というか、そういう属性のメタファーになってるのかな、みたいなショットもありました。ちょっとはっきりとは分かりませんけど。
一応、追記として。


ま、戴けるポイントとしては、ラストの影でしょうね。



というワケで、何気にケビン・コスナーを見直した作品でもあったりして。

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