2010年6月2日水曜日

理論家、三宅裕司。

宇多丸さんのラジオ番組に、なんと、三宅裕司さんが出演してまして。


「お笑い論」をテーマに、かなり濃密なトークを繰り広げていました。
いわゆる“お笑い”というジャンルだけでなく、もっと広い「表現論」としても刺激的な内容だったんじゃないか、と。

前編
後編

三宅裕司っていう人は、この“業界”でも屈指の理論家でもあって、普段はそういう面を(俺が知る限りでは)殆ど見せないんですが、まぁ、肉薄する宇多丸さんに応えて、かなり突っ込んだ話をしてますよねぇ。

ざっとキーワードだけ並べてしまうと…


「素に戻って突っ込む稽古」
「殴ると思ったら殴んないのかよ」というリアクション
アドリブだと感じると、お客さんが喜ぶ。
しかし、それを再現しようとすると、絶対に、スベる。お客さんには伝わってしまう。
誰でもできるワケじゃない。
重く見せるのは、簡単。稽古をすれば良い。芝居がうまくなる。重くなる。
コメディは、重くなってはダメ。「いま起きているように」演じる。
「ストーリーの設定」・・・物語。
緊張感をチャージする装置としての物語(ストーリーの設定)。
役者がもともと持っているモノを発見して、それを「ストーリーの設定」の中に入れ込んであげる。
「見つけてあげる」「設定に入れ込んであげる」「押し込む」。
間=緊張感をチャージするための時間 「息を吸わせる時間」
落とす=吐く 「笑い=一度に息を吐く時間」
緊張感→思ってもいない展開、落差。落ち。
「ちゃんとした作りモン」
大勢で一緒に笑う、という体験。相乗効果で、面白いことがもっと面白くなる。
「そこに持っていくまでの設定」話の流れ。ストーリー。


という感じでしょうかね。ま、ぜひ聴いてみて下さい。前後半合わせて、たっぷり一時間っス。



あと、三宅さんっていうのは、「理論家なんだけど落語家にならなかった演者」という意味でも、稀有な存在、というか。

この人は、音楽もやるし(実際にジャズのビッグバンドを率いている。パートはドラム)、映画も詳しいし、なにより、本人自身のセンスもすごくって(あと、“笑い”の腕力も)、そういう、「理論」だけじゃない部分が、ね。
劇団・一座を率いて“笑い”という頂点に導いていく能力(リーダーシップ? カリスマ性?)も含めて。
耳を傾ける価値がある人物の一人だと思います。



興味深いのが、タカ&トシについて。
志村けんがタカトシを評価してるワケです。自分の番組で横に置いたりして。

三宅裕司も、タカトシを自分の手元に招いていた時期があった、と。

となると、俺らは、タカトシの“佇まい”を通して、志村けんや三宅裕司の“思想”みたいなのを垣間見ることができる、というか。



まぁ、永久保存版としたいっス。

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