2008年3月28日金曜日

「ドラッグストア・カウボーイ」を観る

ガス・ヴァン・サント監督、マット・ディロン主演の「ドラッグストア・カウボーイ」を観る。

この作品は、ちょっと乱暴ですが、要するに「超自己中心的で身勝手な男が、モラトリアムを卒業して、一人の男としての自覚に目覚めていく」みたいなことなんですね。

そこに“ドラッグ”が絡んでくるかどうかの話だけで、基本的には、そういう話なんです。
個人的に、サイケデリック・エクスペリエンスやヒッピー・ライフに対する憧れみたいのは全くないので、この作品についても、まぁ、そういう捉え方になっちゃう、というか。


と、やや貶める感じで書き出しましたが、俺が思うこの作品の良さっていうのは、シナリオとは別の所にあるワケで。
それは、例えば、ディテール。
微妙に揺れるカメラワークや、空の色、道路を走る車の車内から外を撮ったショット、注射器で打とうとした瞬間に邪魔が入って悔しがる表情と仕草とそのタイミング、ドアを開けて訪問者に銃を突きつけるショット(二丁目の拳銃が脇からスッと入ってくる)、電球が明るくなる瞬間をアップで捉えたショット、などなど。
あと、やっぱりマット・ディロンの仕草なんかは、いちいちどれもクールだし。
何もしてない時に画面にどう映るか、ただ黙ってても画面の中にちゃんと収まっていられるか、立っているだけで(まぁ、存在感ってことですが)画として成立するか、とか、そういう所が“いい俳優”の条件だと思うんですが、そういう意味では、この作品のマット・ディロンは完璧ですよねぇ。
一人で、ただ、色々なことを考え、思い悩みながら、ま、その間セリフがない場合が多いんですが、それでもちゃんとお芝居を成立させる、と。
ガス・ヴァン・サント監督は、ホントにそれが旨い。

そういうディテールの積み重ねで、実はなんてことないストーリーを、最後までちゃんと引っ張っていく、と。まぁ、それが俺なりの解釈なんですが。


とにかく、そんな感じで、勉強になるな、と。ホントに。
俺にとっては、そういう作品ですね。低予算で作られてるんだろうな、という意味でも。





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