2008年12月8日月曜日

「ラウンド・ミッドナイト」を観る

ジャズ映画の名作「ラウンド・ミッドナイト」を観る。


まぁ、映画作品としてよりは、ジャズファンにとってのカルトムーヴィーみたいな扱いなのかもしれませんねぇ。
いい映画ですけど。

ハービー・ハンコックが作曲賞を獲った作品ですけど、彼もバンド・メンバーとして出演しています。(なかなか演技は上手い)


多分低予算というのもあったと思うんですが、特に前半のパリでの、暗鬱とした展開が続く部分では、ホントに地味な画がずっと続きます。
狭い部屋、狭いクラブ、狭いステージ、狭い客席、狭いアパート。

が。
ストーリーは、“愛”と“信頼”によって、主人公が蘇えっていくという風に展開するんですが、それに合わせて、画もカラフルさを「取り戻して」いく、という。

途中途中で挟み込まれる8ミリの映像も素敵だしねぇ。
特に、海岸での3人のショットはいいです。そんなに長い時間じゃないんだけど。


あとは、なんだろ・・・。
やっぱり、ディテールの微妙な部分が、ジャズを、というかジャズ史を少しかじってる人じゃないと分からない、というトコがあるのかなぁ。
麻薬のディーラーがウロウロしてたり、とか。(当時、彼らにとってジャズプレイヤーというのは最重要な顧客だったりしたんですよ)


でも、セリフも普通にカッコいいんだよね。
特に、酒を断つと決心するシークエンスは、超クール。



それから、もう1人の主人公(デザイナー)の、奥さんとの関係ですかね。「私は霊感じゃなかったの?」と。
作中で「霊感」と訳されているのは、「インスピレーション」ですね。
彼もアート系の職業なワケで、仕事のためには、そういうものが必要になってくるワケで。
彼が、老ミュージシャンを立ち直らせる過程の中で、彼自身も刺激を受けて、つまりインスピレーションを受け取るようになって、仕事が認められていく、という。
奥さんとの生活の中からは、それは得られなかったワケですね。
うん。
そういう意味では、見方によってはちょっと切ないかもしれませんね。


でも、なんつーか、「愛」もアートなのかもね。「愛」というか、「恋愛」というか。「結婚生活」というか。
でも、「アート」だから、易々と、他の「アート」に取って代わられてしまう、というか。
逆に言うと、それを両方ともは、得られない、というか。


まぁしかし、いい映画ですよ。
もちろん、音楽も。


個人的には、主人公が“失踪”しちゃったシークエンスの、緊張感を演出するための曲が、最高にクールでした。
サウンドトラック、欲しいなぁ。



ちなみに、個人的な「ジャズ映画」のベストは、「ジャズ・ミー・ブルース」という作品です。あんまり有名じゃないけどね。




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