2008年1月15日火曜日

「ブラック・ダリア」を観る

実は、劇場公開の時に「これは絶対に外せないぞ」と決意してたものの、なんやかんやで忙しくて、なおかつあっという間に公開が終わってしまい、結局映画館では観そびれてしまった、という、ジェイムズ・エルロイ原作のLAノワール、「ブラック・ダリア」をDVDで観ました。

主演はジョシュ・ハートネット。まずは、彼の存在感の、というか、佇まいって言うんですかね、それが凄いいいな、と。

カット割りとか、まぁ、ストーリーそのものにも、そんなにスピード感はなくって、ワリとゆったりと展開していくんですが、それにジョシュ・ハートネットの雰囲気がピッタリ合ってる感じがしましたね。
物語の最初から最後まで、ずっと、葛藤したり悩んだりしている彼の、目元の演技というか、表情を、ずっと追っていくだけの“間”が常に与えられている、という。
まぁ、ジョシュ・ハートネットだけでなくって、この監督のこの演出があれば、どんな役者さんでも“表情の演技”を味わえるのでしょうけど。

で、ストーリーは、個人的にはやや緩慢な印象がありまして。
冒頭のボクシングの試合のシークエンスも、正直、あんまり“入り込めない”まま、次に展開してしまい、しかも、演出が、ある意味ではそんなに親切でなく、キャラクターの顔と名前が一致しないまま、登場したり死んだりして、その辺は不満っスね。

サスペンスというか、謎解きの部分で引き込む種類の作品でもないので、まぁ、それはいいんですけど。


ただ、この作品が良かったのは、とにかく画面の“色”ですよね。「LAコンフィデンシャル」よりも、もっと黒が強調された画面は、とにかくクール。
去年の「ゾディアック」は、個人的にはかなりポイント高かったんですが、良く似てます。

この時代には、恐らく蛍光灯はまだなかったと思うんですが、それが画面にも反映されていて、全編に渡って電球(白熱灯?)の暖色系の光と暗闇の黒のコントラストが、美しいだけでなくって、それがそのまま、“人間の心の暗闇の部分”を描くという、物語の空気感の演出にもなっている、という。


謎解きの魅力はそんなにない、ということで、最後に、犯人が分かっても、愛を再び確認し合っても、正直、カタルシスみたいのは、イマイチです。
その辺は、ひょっとしたらシナリオが散漫な感じになっているからかもしれませんね。まぁ、原作ありきの作品ですから、しょうがないっちゃしょうがないのかもしれませんが。


ま、その、画面の暗闇が放つ強烈なノワール感を味わう、という、そういう作品ですな。
ということで。



DMMでレンタルも出来ます。
>>>ブラック・ダリア
>>>ゾディアック

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