2009年3月9日月曜日

「ジャケット」を観る

土曜日の深夜にTBSでやってた「ジャケット」を観る。

“ジャケット”というのは、拘束着のことですね。
しかも、タイトルからは一切想像させない、タイムスリップねた。その拘束着がタイムマシンになってる、みたいな感じで。

と、書き出しは“イマイチ感”が出てますが、さにあらず、いい作品でした。

つーか、すげー良かった。


最後まで観たあとに、チラッとエグゼクティヴP(製作総指揮)の名前が出て、そこにジョージ・クルーニーとスティーヴン・ソダーバーグの名前があって、ちょっとビックリ。
2人が一枚噛んでたんですね。

ま、それはさておき。


湾岸戦争で記憶障害を負ってしまった若い男(若くないのか?)が主人公で、彼が、記憶障害ゆえに自分に被せられた濡れ衣の疑いを晴らすことができず、犯罪者を専門に収容している精神病院に入院することになる。
そこで、“マッドドクター”のヤバめな治療法の実験台にさせられてしまって、と。
ここまでが、かなり長い前置き。

ベトナム戦争が、いわゆるニューシネマ期の“作家”たちにテーマを与え、幾つもの傑作が(間接的に、あるいはそれは悲劇でもあるんだけど)そこから生まれたワケです。
で、この作品も、時代が変わって、湾岸戦争というトピックに対する、例えば反戦であるとか、そういうテーマの作品なのかな、とか想像したりもしたんですが、実はそうでもなく。

実は、ワリとシンプルなタイムスリップものでした。


誤解を恐れずに言えば、基本的には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と一緒ですから。

現在と未来を行き来して、未来で知ることが出来る情報を持って現在に帰って、現在の状況を良い方向に導くことで、暗かった未来を明るい未来に変える、と。


で。
この作品では、主人公が「あと何日かで死んでしまう」ということが、未来で主人公自身に明かされるワケです。
未来へ飛んでいった主人公が、そこで出会った人に、「あなたは死ぬ」と教えてもらう、と。
で、現在に戻って、あれやこれやがあるんですが、やっぱり主人公は死んでしまう。

ここがミソ。

それでも、未来は明るくなってる。

うまく言えないんですが、そこがマジで感動的なんですよ!


「自分が死ぬ」という運命は変えられない。それは受け入れる、と。
しかし、その前に、手紙を書いたり、人に会いに行ったり、ということをして、そして未来を変える。


その、変わった後の未来のシーンが、いいんですよねぇ。
同じダイナーから出てくるのに、前はそこのウェイトレスだった女性が、今は、病院勤務という“ちゃんとした職”に就いていて、そしてなにより、乗ってる車が全然違う。


去年、自分で書いたシナリオのテーマが「自己犠牲」だったんですけど、ちょっとそこら辺にも通じる感じがしちゃって、余計にグッと来たのもあって。



実は、シナリオとしては、あんまり上手く運ばれてなかったりするんですけどね。アラがあったり、適当だったり。
だいたい、どうしてタイムスリップするかも分からないし。

でも、そういうディティールはさておき、という力があるのも確かだな、と。
そう思いました。



というワケで、良作。収穫多し。
という作品でした。

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