2008年8月2日土曜日

「スパイダーマン」を観る

たまにはこういう作品も、ということで、「スパイダーマン」を観る。
別に、スパイダーマンというキャラクターや、サム・ライミにも特に思い入れはないんですけどね。


ストーリーの前半部分は、スパイダーマンの“誕生秘話”。後半は、完全覚醒したグリーンゴブリンとの戦いを描く、ということで、2つのストーリーを上手く繋げた構成になってますね。
正直、長かったです。まぁ、好きな人は、これでいいんでしょうけど。

良かったのは、スパイダーマンが“正義の心”に目覚めるパートの、強盗とすれ違うシークエンス。
個人的な理由で、強盗を逃がし、しかしその強盗によって、愛する“家族”を殺されてしまう、という。
原作通りの設定らしいんですが。
映画の中では、多分5分にも満たないシークエンスなんですけど、これが効いてますよね。うん。
こういう“効いた”シークエンスを、どんなライターも、書きたいと願っているんじゃないんでしょうか。

その前半部分は、主人公のナード(オタク)っぷりが描かれますね。ジョックスに苛められる、という。
まぁ、アメリカの学園モノには必ず出てくる要素で、写真部(新聞部?)の主人公も、その典型的なキャラクターとして描かれている、と
このジョックスとナード、というのは、例えば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で描かれているような、あぁいうヤツです。スポーツが出来るグループが、冴えないナード(オタク)を苛めて、しかもそれが、学校にもクラスメートからも黙認されているかのように描かれる、という。
まぁ、サム・ライミだけでなく、アメリカで映画を撮りたいなんて志望する人は、おそらく殆どが、このナードに属する人たちなワケで、そういう“私怨”の現れなのかなぁ、なんて。
日本でもありますよね。主人公の男の子は、繊細で口下手で、女の子とも上手く話せなくって、でも文化祭かなんかで特技が突然フューチャーされて、気の強い女の子が登場して、「ホントは凄いんだね」的なセリフを言って、それで舞い上がって、みたいなストーリー。まぁ、典型ですね。



で、ストーリー全体で執拗に描かれるのが、「家族」。まぁ、裏テーマという感じでしょうか。
しかもただの「家族愛」ではなく、“血の繋がり”と“心の繋がり”の、差異というか、どちらが尊いか、みたいなのを描くんですね。
主人公は、実の両親ではなく、伯父・伯母の夫婦に育てられ、その“絆”が、当然作品中でも大きな存在として扱われますね。
それから、主人公の幼馴染のヒロインは、主人公の隣家で、実の父親と何度も口論する姿が描かれます。
伯父夫婦と主人との“幸福な関係”と、実の父親とヒロインとの“諍い”という対比。

もう1つ、主人公の親友の家族ですね。こちらは、実の父親と息子、という関係で、まぁ、この父親がグリーンゴブリンなんですが、この親子関係も、どうもしっくり行ってない、ということが描かれます。
ついでに、セリフだけですが、母親(妻)への辛辣な言葉も出てきますし。つまり、ここの家族は“崩壊”してる、と。

血の繋がりのあるハズの2つの家族はネガティヴに描かれ、そうじゃない、主人公が育った家庭は幸福に満ち、後にそれが失われることで主人公がスーパーヒーローに覚醒するきっかけともなる、と。

ま、スパイダーマンの活躍を描くという作品の、隠れたテーマというか、メッセージなんでしょうか。それとも単純に、こういう要素を入れれば売れる、みたいなマーケティング的なアレなんでしょうか。
その辺は、正直分かんないですけど。


話題になった、スパイダーマンの飛翔を表現するCGですが、これは、正直イマイチ。
こちとら、宮崎アニメを観て育ってますからねぇ。「ラピュタ」の飛行シーンの浮揚感なんかと比べたら、全然って感じで。
あれ、多分、スパイダーマンに画が寄り過ぎなんだと思います。生意気言ってますけど。ジャンプのシーンは、常にスパイダーマンに寄ってるんですよね。画が。
もっと引いた、街とかビルを引いて撮るショットとか、スパイダーマンを全身で抜いて、その、飛んでる場所の、周囲の様子を緻密に描くことでスピード感を出す、とか、もうちょっとそういうのがあれば良かったんじゃないか、と。
いや、印象に残ってないだけで、実際はあったのかもしれませんけど。

まぁ、あんまり偉そうに語っちゃいけませんね。この手のアレには。
とにかく、飛翔シーンはイマイチだった、と。



ま、そんなこんなで、続編も観ようかどうか、やや悩む感じの作品でした。


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