2007年11月19日月曜日

「16ブロック」を観る

ブルース・ウィリス刑事がまたまたNYで頑張る、「16Blocks」を観る。

作品のトータルは評価としては、“中くらい”って感じですかねぇ。中の上、とか。

正直、モス・デフの演じるキャラクターの造形がイマイチ。なんか、もうちょっと色があってもいいんじゃないか、と。

ま、その、キャラクターへの違和感とは別に、“コンシャス・ラッパー”の最高峰の一人でもある彼が、無教養で低脳な犯罪者を演じるってことに、ちょっと皮肉を感じちゃったり。ま、それは、逆説的に彼の存在感と、演技の巧さを示してるんですけどね。

モースの悪徳刑事もねぇ。なんちゅーか、そんなに“悪徳”に見えないっていうのあるし。

ま、その、2人とも、俺がもってる先入観が強過ぎるっていうか、ね。
モースは、「クロッシング・ガード」もそうだし、他の作品にも出まくってるからね。
正直、その辺のキャスティングは、俺にはちょっとアレな感じなんですよね。

ただ、まぁ、それはB・ウィリスにも言えることだしなぁ。三者三様で、それぞれにとって同様に、挑戦的なキャスティングだったのかもしれませんね。



冒頭の、主人公の“アル中”の表現も、ちょっとしつこいかな、と。アル中でダメダメの男なんだ、というんを説明する部分。
ただ、一人目の射殺シーンへの伏線だとしたら、あのダラダラした描写も正解ですね。あの、「ホントはデキる」感は、凄い良かったです。普通にビックリしたし、裏切られたし。


物理的なアクションシーンと、心理的な駆け引き、というか、精神的なぶつかり合いが、交互に描かれる、というシナリオも、結構好きかも。そういう意味では、刑事2人の配役はあってる気もしないでもないですけど。

ICレコーダーのオチもとてもイイ。うん。そういう、シナリオの部分はもの凄く良いんですよねぇ。物語の構成というか。


ちょっと気になったのは、その、“16ブロック”の具体的な距離感ですよね。“たいした距離じゃない”というのを、例えば街を空撮するとかして、“実際の距離感”を体感させる、みたいな演出があってのいいんじゃないかな、と。普通に、目指す裁判所のイメージが与えられないので、若干迫力不足になってるし。
ニューヨークという“街”が舞台なのに、その“街”が、イマイチ描写し切れてない、という。

NYの地理をなんとなく分かる人だと、要するに、チャイナタウンを縦断していく、ということなんですが。あのゴチャゴチャした区画っていうのは、チャイナタウン特有のカオスなので。どこもかしこもあんな街路ばっかりじゃないですからねぇ。


しかし、NYのダウンタウンを舞台にしつつ、「9・11」についての描写はしない、という部分は良かった。ようやく“平時”に戻ってきたのかな。NYの映画も。一時期、ホントにそういう作品ばっかりでしたもんね。
いや、ま、それが悪いことだとはまったく思いませんけどね。むしろ大事なことですが。


それから、チャック・ベリーとバリー・ホワイトについてのセリフは良かった。エンドクレジットでバリー・ホワイトが流れたりしてね。そこはちょっと、ニヤリ、みたいな。


ま、そんなこんなで、“佳作”でしょうな。

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