2008年6月22日日曜日

「ザ・ビーチ」を観た

金曜日のシネマ・エキスプレスで、ダニー・ボイル監督、レオナルド・ディカプリオ主演の「ザ・ビーチ」を観たので。感想でっす。



ま、駄作っスか?
正直、面白くもなんともない、と。ズバリ言うと。

アメリカの、ヤッピー予備軍が、ヒッピーみたいなことをして、グチャグチャ色んな“冒険”をして、で、また結局、物質世界に戻っていく、と。
なんか、爽快な顔をして。“思い出作り”的な。


でも、この主人公が全部悪いんですからねぇ。全部コイツのせいですから。
そういう意味では、何にも感情移入出来ないし、ストーリーを咀嚼しようとしても、「は?」と。

もっと、暗部をえぐるような、ドロドロな所にいったん堕ちていけば、その後の“爽快感”みたいのもあったんだろうけど、なんか、全然だし。

だいたい、最後に対立する同士が、どっちも「グダグダの自称“正義”」ですからねぇ。これ、どうしょうもないっス。
片方は、楽園を築いた女性なんですが、これはまるで、アフリカやアジアやアメリカ大陸を侵略していった白人たちと同じ論理。
片方はプリオ様ですが、これは、自己中心的な、自己の正当化だけが目的の行動で、結局“コミュニティ”を崩壊させてしまうという、いかにもな「バカなヒッピー崩れ」という論理。


その、「楽園の崩壊」というテーマなら、この展開は分からないでもないんですが、それなら、完全に内部崩壊という形にしないといけないんじゃないのかな、と。
作品では、現地人の“銃器”による侵入、という形になってますから。

この、現地人の描き方も勘に障る感じなんですよねぇ。完全な極悪人として描かれちゃってるんで。
そうじゃないと思うんですよ。



だいたい、主人公のプリオ様が、「ナイーヴな若者」に見えない。
それこそユアン・マクレガーならいいのにな、なんて思ってたら、ダニー・ボイルとしては、最初はやっぱりユアン・マクレガーでやるつもりだったみたいっスね。
マーケティングな要請でプリオ様になったらしい。結果、失敗ですけど。


ダニー・ボイルは、この後に、この作品と全く逆方向に、というか、“楽園”の逆のシチュエーションを作って、そこからの“脱出劇”という、つまり“希望”を描く「28時間後…」という作品を撮るワケで、なぜかこちらは、成功してるんですよねぇ。
「28日後…」だって、別にハリウッド資本で作られてもおかしくない内容だと思うんですけど。



ちなみに、ダニー・ボイルの「トレインスポッティング」では、登場人物の“メガネのバカ”が、「南の島の楽園に行きたいから」という理由で、旅行会社に就職しようと面接を受けるシークエンスがありますね。
ひょっとしたら、この作品は、そこと繋がってるのかなぁ、なんて。
ま、冗談ですけどね。



映像的にも、新味はなし。ビーチとか、夜中の水中のショットとかは綺麗だったけどね。

逆に、サメは模型の動きがぎこちなさ過ぎて、ウケます。早送りだし。
プリオ様の“動物化”は「ドラゴンヘッド」みたいだし、“水中キス”は、もちろんアレだし。

う~ん。
ま、そんなモンですかね。


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