2012年10月10日水曜日

「漆黒の闇で、パリに踊れ」を観た

銀座テアトルのレイトショーで、「漆黒の闇で、パリに踊れ」を観た。

フレンチノワール、ですね。
原題は「Une Nuit」ってことで、「ある夜」ってぐらいの意味でしょうか。
邦題は、ノワール映画であることをアイキャッチ的に主張するために、かなり力んで付けられてますけど、まぁ、若干スベってる気がしますが、ま、それはさておき。


原題で言われている通り、「一晩で起こる出来事」を追う、というストーリーなんですが、この邦題だと、そこが伝わってこない、という、ね。


ま、いいんですけどね。



ここ何年か、ホントに新潮流って感じで、フランス産のノワール作品が活況ですけど、こういうのはホントに嬉しいです。マジで。

このテイストの作品群を受容するマーケットが、東京にもあるんだ、ということが再確認できるだけでも大事なことだと思うし。
もちろん、東京だけでなく、マーケットという意味では、世界中にこのジャンルのファンが居る、ということなワケで、それも大事ですけど。


ノワール。


文字通り、パリの闇夜を描く作品です。(そう考えると、例えば邦題も「ある夜、闇空の下のパリ」とか、ね。「ある夜、漆黒のパリ」とか、どうです?)


ある刑事の、一晩の様子を描いていくんですけど、個人的には、物語の最後のフックになる部分の展開が、ホントに巧く騙されちゃって、とにかくそこが良かった、と。

“その夜”が終わって、翌朝の明け方から昼にかけて。

鮮やかだし、演じる女優さんの“切り替え”も、見事だなぁ、と。


すっかり騙されちゃいましたよねぇ。




ただ、逆に言うと、(個人的には)良かったのは、実はそこだけ、というか…。

こんな書き方をすると、なんだか怒られそうですけど、他のトコはあんまり引っかからなかった、というか。


良いんですけどねぇ。



でもなんか、例えば手持ちカメラで揺れながら、歩く主人公を映す、みたいなショットも、どうも冗長でピンとこないし、全体的にも、なんかそんな感じなんですよねぇ。

そんなにクールじゃないんですよ。

主役の俳優さんも、存在感は凄いあるんですけど、なんか深みがない、という気がしちゃうし…。


やろうとしてることは、間違ってないと思うし、伝わってはくるんですけど、どうも、ね。


カットの間も、あんまりシャープじゃないし。


ノワールを、ノワールの教科書どおりに撮りました、ということなんでしょうけど、その教科書はちょっと古臭いぞ、みたいな。

教科書どおり作られたノワールって、どうなんだ、みたいな感じもあるし。



だいたい、クールにノワールを撮ろうと思ったら、アイフォンとか絶対使っちゃダメでしょ。

そこら辺の感覚がちょっとズレてる気がするんだよなぁ。



もうちょっと“渋み”を、ね。

ふりかけて欲しかったです。作品全体に。



最後が鮮やかなだけにねぇ。


途中の、なんかダレてる感じが、どうももったいなかった、というか。




良かったんですけどねぇ。



なんかもったいないな、という感じがずーっと続いて、しかし最後で、という。


そういう、ちょっと微妙な作品でした。






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