フレンチノワール、ですね。
原題は「Une Nuit」ってことで、「ある夜」ってぐらいの意味でしょうか。
邦題は、ノワール映画であることをアイキャッチ的に主張するために、かなり力んで付けられてますけど、まぁ、若干スベってる気がしますが、ま、それはさておき。
原題で言われている通り、「一晩で起こる出来事」を追う、というストーリーなんですが、この邦題だと、そこが伝わってこない、という、ね。
ま、いいんですけどね。
ここ何年か、ホントに新潮流って感じで、フランス産のノワール作品が活況ですけど、こういうのはホントに嬉しいです。マジで。
このテイストの作品群を受容するマーケットが、東京にもあるんだ、ということが再確認できるだけでも大事なことだと思うし。
もちろん、東京だけでなく、マーケットという意味では、世界中にこのジャンルのファンが居る、ということなワケで、それも大事ですけど。
ノワール。
文字通り、パリの闇夜を描く作品です。(そう考えると、例えば邦題も「ある夜、闇空の下のパリ」とか、ね。「ある夜、漆黒のパリ」とか、どうです?)
ある刑事の、一晩の様子を描いていくんですけど、個人的には、物語の最後のフックになる部分の展開が、ホントに巧く騙されちゃって、とにかくそこが良かった、と。
“その夜”が終わって、翌朝の明け方から昼にかけて。
鮮やかだし、演じる女優さんの“切り替え”も、見事だなぁ、と。
すっかり騙されちゃいましたよねぇ。
ただ、逆に言うと、(個人的には)良かったのは、実はそこだけ、というか…。
こんな書き方をすると、なんだか怒られそうですけど、他のトコはあんまり引っかからなかった、というか。
良いんですけどねぇ。
でもなんか、例えば手持ちカメラで揺れながら、歩く主人公を映す、みたいなショットも、どうも冗長でピンとこないし、全体的にも、なんかそんな感じなんですよねぇ。
そんなにクールじゃないんですよ。
主役の俳優さんも、存在感は凄いあるんですけど、なんか深みがない、という気がしちゃうし…。
やろうとしてることは、間違ってないと思うし、伝わってはくるんですけど、どうも、ね。
カットの間も、あんまりシャープじゃないし。
ノワールを、ノワールの教科書どおりに撮りました、ということなんでしょうけど、その教科書はちょっと古臭いぞ、みたいな。
教科書どおり作られたノワールって、どうなんだ、みたいな感じもあるし。
だいたい、クールにノワールを撮ろうと思ったら、アイフォンとか絶対使っちゃダメでしょ。
そこら辺の感覚がちょっとズレてる気がするんだよなぁ。
もうちょっと“渋み”を、ね。
ふりかけて欲しかったです。作品全体に。
最後が鮮やかなだけにねぇ。
途中の、なんかダレてる感じが、どうももったいなかった、というか。
良かったんですけどねぇ。
なんかもったいないな、という感じがずーっと続いて、しかし最後で、という。
そういう、ちょっと微妙な作品でした。
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