2012年2月21日火曜日

「ドラゴン・タトゥーの女」を観た

デビッド・フィンチャー監督の「ドラゴン・タトゥーの女」を観た。


この作品は、原作の小説と、“本国”で既に映画化されていて、そのハリウッド・リメイク版、ということになるんですけど、原作も映画も、良いという噂は耳にしてたんですけど、というアレでして。

つまり、まったく知らない状態で観た、と。



いやぁ。


とにかく、「フィンチャー・イズ・バック!!」。
「セブン」で度肝を抜いてくれたあのD・フィンチャーが帰ってきた、と。
個人的には、もうホントにその一言に尽きる、という作品でした。

もちろん、内容的にも大満足ですけどね。
原作も、機会があった読んでみようかと密かに思っております。
えぇ。



で。
とにかく原作を知らないので、ストーリーラインなんかも「きっと原作通りなんだろうな」という感じになっちゃうんですけど…。

ストーリーは、最初は、二人の主人公の話が、あんまり交差しない形で語られていくんですね。

ダニエル・クレイグ演じる中年のジャーナリストは、なんか仕事で“失敗”して、追い込まれるように、首都から北へ「列車で4時間」かかる町に赴く。

この、北の町の、大富豪が暮らす島に連れて行かれる感じは、なんていうか、もう横溝正史の世界。「獄門島」とか「八つ墓村」って感じ。

その大富豪は、一本の橋だけで対岸と繋がっている島で、一族と憎み合いながら暮らしていて、過去の、少女の失踪事件の真相を探るよう依頼する。
というか、取引の形で話を持ちかける。


もう一つのラインは、タイトルの“竜の刺青”を背負った女で、もう一人の主人公である彼女の“生活”が語られる。
というか、彼女の“闘争”ですよね。
「苛烈な人生」を生きる彼女に降りかかってくる“性的暴力”に対する、彼女の報復。

保護監察官によるレイプに抗って、彼女は報復するワケです。

この私刑(リンチ)の、不快な爽快感!
これぞフィンチャー!


首尾よく制裁を下した後、彼女はクラブでナンパした女の子と一夜を過ごし、その翌朝、D・クレイグの(不意の)訪問を受ける、と。
ここで二人のストーリーラインが交わるワケですけど、ここでフィンチャーは、ひとつ仕掛けをしています。

それは、彼女の暮らすアパートの中にD・クレイグが半ば強引に入って行った後の、ライティング。
D・クレイグだけが、暖色系の照明に照らされるんですね。
アパートの主である彼女は、薄暗い所に佇んだまま。

これが、諸々ストーリーが進行していって、すべてが終わった後、つまり、彼女が“失恋(!)”してしまったあとのシークエンスに繋がっているんですけど、そこでの彼女は、暖色系のライトに照らされているんですよ。
街角、というシチュエーションなんで、街灯に、ということになるんですけど。

失恋しても、暖色、なんです。

彼女はラストショットで、バイクに乗って走り去るんですけど、暗闇を走るんじゃないんですね。街灯に照らされた通りを、走り抜けていく。

つまりですねぇ。

“失恋”というのは、再び“薄暗い”人生/生活に戻ることではないんだ、ということなんですよ。



続編がどうなるのかは知らないんですけどッ!
(繰り返しになりますが、とにかく原作を知らないもんで…)



まぁ、この辺の陰影の使い方っていうのは、D・フィンチャーお得意、というか、さすがですよね。
この作品でも、その腕は見事に発揮されてます。

加えて、“真犯人”の地下室の硬質な質感、とか、同じ陰影にも質の変化を加えてくる、という、まぁ、その辺はホントに巧いですよねぇ。
ガス室を連想させるギミックも、そうですけど。



そして、「セブン」に続き、この作品でも聖書(レビ記)が殺人の教唆本になってて、という、このエグ味。
スウェーデンならではの、親ナチ反ユダヤの歴史を、容赦なく曝け出す形でストーリーとして消費してしまう、この感じ。
大富豪一族の抱く、寒々とした内面世界。
精神病の病歴を持つ、というだけで、権威と暴力によって易々と踏みにじられてしまう主人公の尊厳。

こういうのを、ひとつひとつ鋭く鋭く描写していく、と。




あと、D・クレイグの元妻と娘の、カルトに所属している、という“伏線”、ですよね。
これ、全然回収されてないんですけど、まさかこのまま、というハズがないので。

なんせ、レビ記に教唆されて連続殺人を犯す父と息子、という話なワケで、“カルト”というキーワードがこのまま放置されてしまうワケがない。

一応、娘の一言が、謎を解くキーになる、ということにはなってますけど。

これは続編で、ということでいいんですよね?



うん。



あとはなんと言っても、ダニエル・クレイグ。


ちょっと隙のある、しかし熱い正義感を、好演してます。
「007」と同じく、こちらの作品でもモテモテで、二回とも女性の方からベッドに(しかも、同じベッドに)誘われてますけど。

ちなみに、「007」はコロンビアが製作なので、ノートPCは全部(親会社の)ソニーVAIOでしたが、今作は全部MacBookです。
その辺も抜かりなしって感じ。



失恋してしまった“その後”も含めて、超期待。



いやぁ、良い作品でした。大満足。















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