2010年7月13日火曜日

「手に入れると得意になるただの消費者に過ぎません」

宮崎駿監督が、スタジオジブリが発行している「熱風」というミニコミ誌で、iPadについて(かなり烈しく)語っている、ということを紹介している、あるブログのエントリー。

http://blogs.itmedia.co.jp/yasusasaki/2010/07/ipad-ab70.html

自社内の冊子、ということで、実はインタビュアーもジブリの中の人間なんですね。この、「自分の会社の人間だ」ということが、一番最後の強烈なひと言につながっていきます。


以下、引用です。

***
宮崎監督は「ぼくには、鉛筆と紙があればいい」というスタンスであり、インタビュアーが手にするiPadについてこんな指摘をしています。

あなたが手にしている、そのゲーム機のようなものと、妙な手つきでさすっている仕草は気色わるいだけで、ぼくには何の感心も感動もありません。嫌悪感ならあります。その内に電車の中でその妙な手つきで自慰行為のようにさすっている人間が増えるんでしょうね。電車の中がマンガを読む人間だらけだった時も、ケイタイだらけになった時も、ウンザリして来ました。


資料探しの道具として使いこなせば良いのでは?という質問の流れで、時間をいただけるなら、文献を調べて取り寄せることもiPadで出来ますというインタビュアーの言葉に対して、

あなたの人権を無視するようですが、あなたには調べられません。なぜなら、安宅型軍船の雰囲気や、そこで汗まみれに櫓を押し続ける男達への感心も共感もあなたは無縁だからです。世界に対して、自分で出かけていって想像力を注ぎ込むことをしないで、上前だけをはねる道具としてiナントカを握りしめ、さすっているだけだからです。

一刻も早くiナントカを手に入れて、全能感を手に入れたがっている人は、おそらく沢山いるでしょう。あのね、六〇年代にラジカセ(でっかいものです)にとびついて、何処へ行くにも誇らしげにぶらさげている人達がいました。今は年金受給者になっているでしょうが、その人達とあなたは同じです。新製品にとびついて、手に入れると得意になるただの消費者にすぎません。

あなたは消費者になってはいけない。生産する者になりなさい。


佐々木俊尚さんTwitterで紹介したこともあり、今回こちらに紹介した部分が刺激的な内容としていろいろな方が今後とりあげていくのかなと思いますが、やはりコンピュータも使うけど、セルとフィルムでアニメを作れと言われりゃ作るけどって言い切る人の強さをかみしめざる得ないと感じたのでした。

***

「あなたは消費者になってはいけない。生産する者になりなさい」というのは、いわゆる“一般の人たち”あるいは“巷のiPadユーザーたち”すべてに言っている言葉ではなく(ここ重要)、“生産する者”であるべき、ジブリのクリエイターの後輩に向けて言っている言葉なんですね。

「アニメーター」っていうんですかね?
あくまでも、自社のアニメーターに向かって言っている言葉。

そこを勘違いしてそうな“コメント”がネット上で飛び交いそうな感じですが、そこは留意しておくべき前提だと思います。


「世界に対して、自分で出かけていって想像力を注ぎ込むことをしないで、上前だけをはねる道具としてiナントカを握りしめ、さすっているだけ」じゃダメなんだ、と。


このことをツイッター上で紹介している佐々木俊尚さんのツイットはこちら。
http://twitter.com/sasakitoshinao/status/18167227539
http://twitter.com/sasakitoshinao/status/18167273151
http://twitter.com/sasakitoshinao/status/18167608378
http://twitter.com/sasakitoshinao/status/18167724657
http://twitter.com/sasakitoshinao/status/18278182538



で。


得意気に、何かにコミットしている気になって振る舞っていても、「実はただ消費しているだけだった」というシチュエーションっていうのは、結構あるワケですよね。
映画を取り巻く“文化的な”環境にも。

もちろん、「それでいいんだ」という、それはそれで、ある覚悟を持った“態度”というのも、“消費社会”を泳いでいくための一つの“態度”としては、完全にまっとうなモノとして成立し得るワケですが。


しかし、と。


この、iPadについてはともかく、“消費者”と“生産する者”という言葉が、ね。
刺さりますよね。
二種類の人間の、世界に対する“態度”。

「世界に対して、自分で出かけていって想像力を注ぎ込むこと」こそが、“生産する者”の“態度”なんだ、と。
「一刻も早くiナントカを手に入れて」得意気になってるだけじゃダメなんだ、と。


それは、ただの“消費者”の態度でしかない。


勘違いすんなよ、と。


「生産する者になりなさい」ということは、つまり、「カネを稼げる人間になりなさい」ということですよね。
カネ=価値、ということ言えば、なんの価値も生んでないんだ、と。
「上前だけをはねる道具」というののは、そういうことですからね。


何か新しい価値を生むための“態度”っていうのは、そういうことじゃねーんだ、と。

そんな、新しいツールを手に入れただけで「全能感」に浸ってんじゃねーぞ、と。(これは多分、インタビュアーの人が、宮崎監督の前で得意気になってiPadを“ご披露”したんだと思うんですよ。その感じの嘘くささを言ってるんじゃないかなと思います)



うん。



戒め、ですよね。




というか…。
「戒め」なんて、自分を「生産する者」の置こうとしている感じになってて、まぁ、勘違いっていうか、身の程しらずというか、そういう感じになっちゃってますが…。


ま、“端くれ”として、ね。

このブログにエントリーとして残しておきたい言葉だな、と。


そういう言葉でした。

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