2009年4月29日水曜日

「ウイルス」について

いよいよ緊急度・危機度が増してきた、メキシコ発の豚インフルエンザの大規模感染ですが。
死者も100人を超えてしまっている、という。


今日の新聞の記事から、幾つか抜き書きしてみました。

メキシコ保健省は「ウイルスが豚の中で変異を起こし、どこかで人に感染した」と見ており、豚と人を結ぶ「線」が最大の焦点。養豚場周辺で起きた感染症に強い関心が集まる。だが、メキシコの合弁会社を通じてラグロリア(メキシコ南部の都市)の養豚場を経営するアメリカの養豚会社は26日、「メキシコでの豚や業者には豚インフルエンザの症状は出ていない」と関連を否定する声明を出した。

交通網が発達した今日の感染症は、一日の対策の遅れが致命的損害になる恐れがある。メキシコ政府は対応の遅れを取り戻そうと懸命だ。大事な外貨収入源である観光産業への影響を最小限に抑えることも重要だ。政府は国内対策を重視する一方、出入国は制限していない。
麻薬組織と軍の衝突で年6000人の死者を出し、ただでさえイメージ悪化が懸念されるところに、豚インフルエンザはダブルパンチ。WHOが25日に開いた緊急委員会でも、感染警告レベルの引き上げにメキシコは抵抗したとされる。

若い人々がインフルエンザから肺炎を起こし、死者が100人を超えたメキシコ。一方、アメリカで確認された20人の患者は、せき、熱など普通のインフルエンザ症状にとどまり、死亡例はない。同じH1N1型の豚ウイルスなのに、この違いは何か。

今回のウイルスに対するメキシコとアメリカの住民の免疫状況の違いが、原因とも考えられる。免疫をもたない集団に感染が広がれば、大きな健康被害をもたらすことがあるからだ。
例えば、02年にアフリカの島国・マダガスカルで起こった大流行。現地報告では約5000人の患者中374人が死亡、致死率は7.3%に達した。「新型ウイルスか」と緊張が走り、WHOとCDCの専門家が調査に入った。結果は、日本ではありふれたA香港型。A香港型にかかった経験が少なく免疫が低い人々に広く感染し、さらに、栄養状態の悪さや医療の不十分さも重症化に影響したようだ。

(専門家は)現地の体制や治療状況を見ていないと前置きしながらも、「(肺炎治療や診断能力で)アメリカとメキシコの医療水準の差があるのでは」と話す。

“ウィルス”といえば、ロメロ監督の一連のゾンビものから始まって、最近だと「感染列島」とか、いわゆる映画の素材として、古くから使われているトピックでもありますね。


同時に、アメリカとメキシコの「上下関係」というのは、名作「トラフィック」や、メキシコ出身のイニャリトゥ監督の「バベル」、イニャリトゥ監督と組んで仕事をしているギジェルモ・アリアガの書いた「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」などなどの作品で描かれていますよね。

今度の大規模感染も、特にイニャリトゥ監督なんかは自分の作品のモチーフに使いそうな気がします。


このインフルエンザの感染例については、もちろん鳥インフルエンザの時もそうでしたけど、人と家畜が接近して生活している環境、というのが前提にあるワケですね。
で、それは想像するに難くないと思うんですけど、いわゆる“貧しさ”という言葉が浮かんでくるようなシチュエーションなワケですよ。
アメリカなんて特にそうだと思うんですけど、先進国の畜養っていうのは、それこそ抗生物質なんかもガンガン使った、かなり高度に管理された環境で行われていることが多いと思うんですけど、そういう環境からは、豚インフルエンザのウイルスが人間に、なんていう事態は起こらない、と。

「ラグロリアの養豚場を経営するアメリカの養豚会社」なんていう言葉の裏には、ある“画”が浮かんできたりするワケですよね。
先進国の企業が、人件費やらなんやらが破格の安さで手に入る場所で「養豚場」を経営している、という。
そこにあるのは、アメリカとメキシコの「上下関係」に他ならないワケで。


こういうシチュエーションに「物語」の存在や必要性を感じ取って、それを具現化してきたのが、まさにイニャリトゥ監督だったりするワケで。


もう一つ、「医療水準の差」という言葉ですね。
これも同じく、二つの国の「上下関係」を示している言葉であって。
アメリカなら軽症で済むような“感染”が、メキシコでは重篤な感染症を引き起こしてしまう、という。



例えば、こんなストーリー。
NYで生活している、航空機のパイロット。NYでは、市の郊外の広い家に妻子と暮らし、アッパークラスとして生活している。
彼は、メキシコ(メキシコシティ?)にフライトする度に会う、お気に入りのメキシコ人のコールガール(売春婦)がいる。メキシコ人の彼女は、美人のシングルマザーで、小さな一人娘と生活している。
ある日、フライトでやってきたパイロットは、いつものように彼女を呼ぶが、彼女は熱を出して寝込んでいる娘の看病で、パイロットのホテルに行くことが出来ない。
パイロットは、彼女の暮らす家にタクシーでやってきて、無理やり(カネづくで)、彼女の寝室で一晩を過ごす。
フライトでNYに戻るパイロット。パイロットは感染している。
NYの自宅に帰るパイロット。喜んで出迎えるパイロットの子供たち。

子供たちに感染し…。


う~ん。
ホントにイニャリトゥ監督っぽくなってきたかも。





なんつって。


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