2009年4月1日水曜日

短編「愛と欲望の起承転結」

この間の続きと言ったらなんですが、今日はもうちょっと長いヤツを。
タイトルは『愛と欲望の起承転結』


○車の中 夕方
  運転席の飯田彰宏、助手席の飯田恭子。後ろのシートには石川
  敦子と、敦子に抱かれた知花がいる。
  法事の帰りで、喪服姿の三人。知花はピンク色のベビー服。
  東京の郊外、私鉄沿線の駅前のロータリーに入っていく車。
  適当な所で車を停める彰宏。
敦子「もう、どこでもいいですよ、ここなら。彰宏さん、ありがとうございました」
彰宏「はい、いえいえ」
敦子「お姉ちゃんも」
恭子「うん」
敦子「またね」
恭子「(振り返って、知花に)ちーちゃん、またねー」
敦子「(知花に、右手を持って振って)バイバイって…」
恭子「(知花に)バイバーイ」
  笑顔で、両腕を上下に振る知花。
知花「ばばー」
恭子「バイバーイ」
  車を停める彰宏。
恭子「じゃ、降りまーす」
敦子「降りれる?」
恭子「ウン」
  ドアを開ける敦子。
敦子「よいしょ…」

○車の外
  車から降りた敦子。車の中の恭子に手を振っている。
  走り出す車。

○車の中
  ロータリーの出口で信号を待っている。ウィンカーの音が鳴っている。
彰宏「…赤ちゃんかわいかったねぇ」
恭子「ホント。知花ちゃん、超カワイイ」
彰宏「なぁ」
恭子「手とかこんなちっちゃいの。指とか」
彰宏「頬っぺたプニュプニュしてたな」
恭子「そう! 腕とかニクニクしてんの」
彰宏「ニクニク? なにそれ?」
恭子「ニクニク」
  信号が変わる。アクセルを踏む彰宏。すぐに停まる。
恭子「…敦子もなんか、ママしてるって感じ…」
彰宏「だってお母さんだよ? 敦子ちゃんが」
恭子「そうなんだけど。けどやっぱ、あの敦子がねーって思うの」
彰宏「あー、なるほどね」
恭子「そういうの、あるでしょ?」
彰宏「うん。分かる」
  ハンドルを切る彰宏。交差点を右折していく。

○マンションの一室・玄関
  二人が暮らすマンションに帰ってくる二人。彰宏が開けたドアに、先に入る恭子。
  玄関の照明のスイッチを入れる。1DKの賃貸マンションの一室。靴を脱いで、
  短い廊下の先の、ダイニングキッチンに入っていく二人。
恭子「ただいまー」
彰宏「はぁーぁ、と。疲れたー」
恭子「お疲れさまでーす」
彰宏「先、お風呂入っていい?」
恭子「うん。どうぞどうぞ」
  下げていた紙袋を、キッチンに入ってすぐの所の、冷蔵庫の脇に置く彰宏。
  携帯電話を出して、電話を掛けている恭子。
恭子「(携帯に)…もしもし、ママ? そうそう。今帰ってきたの。ちゃんと着いたので、
 無事に。うん、お姉ちゃんも送って…」

○同・キッチン
  冷蔵庫から缶ビールを出して、ドアをパタンと閉める彰宏。風呂上りの、Tシャツに
  ハーフパンツ姿の彰宏。リビングの方に歩いていき、ソファに腰を下ろす。
  彰宏と同じハーフパンツにポロシャツ姿の恭子が奥の部屋から出てくる。
恭子「ねぇねぇ」
彰宏「ん?」
恭子「おはぎ食べようよ」
彰宏「うーん…」
  彰宏の返事を気にせず、キッチンに行く恭子。
恭子「袋どこだっけ? もらってきたの…」
彰宏「そこ…。冷蔵庫の…」」
恭子「あ、あったあった…」

○同・キッチン
  紙袋から、白いビニール袋を出す恭子。その中から、おはぎの入った包みを出す。
  包みを開けながら、リビングに戻っていく恭子。
恭子「ジャーン。すごい! おっきい。三つ! あっくん、いらない?」
彰宏「なんで!? 食べるよ」

○リビング
  小さなテーブル(ちゃぶ台)におはぎの包みを置く恭子。
恭子「あ、そう?」
  ソファの前に腰を下ろす恭子。
彰宏「なにそれ! あわよくば全部食べてやるみたいな雰囲気だよ…」
恭子「(笑いながら)あーれー、そう?」
彰宏「『そう? 』じゃないよ!」
恭子「いいよ、別に無理して食べなくても。だってほら、ビールに合わないんじゃないの?」
彰宏「んー、確かに」
恭子「でしょー? 実は気を遣ってんの」
彰宏「(即答)はいウソ」
恭子「早い、返事が」
彰宏「あとで食べるよ」
恭子「あーそー。しょうがないなー」
彰宏「なにそれ!」
恭子「フフフ…」
彰宏「ふー、危うく喰われるところだったよ…」
恭子「いただきまーす」
  おはぎを取って、食べる恭子。彰宏はビールを飲む。
恭子「(モグモグしながら)うーん、おいしい。“香果堂《こうかどう》”のおはぎ最高」
彰宏「懐かしの味なんでしょ」
恭子「(頷いて)そう。お墓参りのね。うん、おいしい」

○同・洗面所の前
脱衣所兼洗面所の引き戸が開いて、風呂から上がった恭子が、髪を拭きながら出てくる。

○同・リビング
  ソファに、脚を伸ばして、ほぼ寝そべっている感じで座っている彰宏。恭子はさっきと
  同じ、ソファの前の所に座っている。
  テレビには、日曜の夜(10時~11時くらい)の番組が流れている。
  手足の爪の手入れをしている恭子。
  おはぎの包みを腹の上に載せ、ゆっくりおはぎを食べている彰宏。
恭子「…一口ちょーだい…」
  ねだるように口を開ける恭子。
彰宏「…」
  手を伸ばして恭子の口元におはぎを差し出して、食べさせてやる彰宏。
恭子「(モグモグしながら)…おりがと」
彰宏「ん」
自分の爪に戻る恭子。
彰宏「おいしい?」
恭子「(モグモグしながら)もちろん」
  眠そうに欠伸をする男。
恭子「…今日はお疲れさまでした…」
彰宏「うん…眠たい…」
恭子「朝早かったからねー」
彰宏「うん…」
恭子「今度は泊まろうね、当日か、前の日か」
彰宏「うん…」
恭子「ま、仕事だったから、今回はしょうがないよね」
彰宏「うん…」
恭子「…パパも喜んでたって」
彰宏「そう?」
恭子「うん。さっき電話でね、ママが言ってた」
  少し嬉しそうな表情の彰宏。
彰宏「…知花ちゃんいたから機嫌良かったんじゃないの?」
恭子「フフ、そうかもね」
彰宏「知花ちゃんパワーだな」
恭子「かわいいもん」
  おはぎを食べながら、自分の指についた餡を、目の前に伸びていた、恭子の白くて
  すらっとした美しい脚に、つける彰宏。
恭子「ちょっと、もー」
彰宏「フフフ…」
  その餡をペロリと舐める彰宏。
恭子「(笑いながら)きゃー、もー」
彰宏「フフフ…、えいっ」
  もう一度餡をつける彰宏。
恭子「もー」
  餡を舐める彰宏。
恭子「やーめーてー」
彰宏「うー、ちょっと興奮してきた、なんか」
恭子「なにそれー」
彰宏「ムフフフ…」
  さっきより多く餡を付ける彰宏。
恭子「もー、やーだー」
  バクッといく彰宏。
彰宏「うぅぅぅぅ」
  犬(狼)の唸り声を真似する彰宏。
恭子「ダーメ。これ終わってから」
彰宏「グルルル…」
恭子「フフフ…ちょっと待って…すぐ終わるから…」
彰宏「うぅぅぅぅ」
  ***
  爪が乾いて、出来ばえに納得する女。
恭子「よし、と…」
  ソファの彰宏の方を振り返る恭子。
恭子「出来たできた。終わったよ、あっくん」
  寝息を立てている彰宏。
恭子「あれ?」
  スースーいっている男。
恭子「(不満そうに)えー…(間)寝ちゃったのー?」
彰宏「ウソだよぉ!」
  ガバッと体を起こし、ソファから恭子の上に覆いかぶさる彰宏。
恭子「(嬉しそうな顔で、悲鳴を上げる)キャー」
  笑いながら、彰宏と一緒に、床に寝そべる恭子。彰宏の背中に腕を回す。
彰宏「ウガー」
  ククッと笑う恭子。
  キスをする彰宏。
  次は、恭子からキスをする。
  ***
  彰宏が上になったまま、二人とも服を脱ぎ捨てている。
彰宏「子供作るか、そろそろ、オレらも…」
恭子「…」
彰宏「ん? ヤか?」
恭子「…ううん。私もそう思ってたの」
  ククッと笑う二人。
彰宏「知花ちゃんパワーだな」
恭子「フフッ、ホント」
彰宏「すごいね」
恭子「フフッ」
  キスをする二人。
  手を伸ばして、紐を繋いで伸ばしてある、照明のスイッチの紐を引く彰宏。
  恭子も手を伸ばしてリモコンを取り、テレビのスイッチを切る。暗くなる部屋の中。
  抱き合う二人。
 
    終



以上です。
ちょっとアダルトなアレですけど、こんな感じのかわいい雰囲気は好きなんです。えぇ。



つー感じで。

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